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メインセッション:地域を元気にするICTの使い方

[パネリスト]

谷脇康彦氏(総務省 情報通信国際戦略局情報通信政策課長)
藤倉潤一郎氏(地域協働推進機構 代表/地域協働ポータルサイト)
小路隆行氏(神奈川県厚木市 情報政策課)

[司会]

庄司昌彦氏(国際大学GLOCOM 主任研究員/地域SNS研究会)


 このセッションでは、「地域社会を元気にする」等の目的に対して、地域SNSなどのICT(情報通信技術)が得意なところはそれを最大限活用し、苦手なところは別なもので補うなどしてうまく活用していこうという考え方に立ち、具体的な取り組みと俯瞰した視点の双方による視点から意見が交わされた。

 初めに司会の庄司氏は、地域SNSの目的はSNSの活性化ではなく、あくまでも「地域の活性化」にあるとし、地域を元気にするICT利用を考えていきたいと述べた。

 続いて総務省の情報通信国際戦略局情報通信政策課長である谷脇氏より、日本のブロードバンド利用について説明がされた。それによると、今日情報設備が整い始めているにも関わらず、その利活用の面では遅れているという現状が示された。また政府も地域主権のあり方を模索しており、情報通信技術の活用性が期待され、ICTを利用した人と人とのネットワークを目標にするべきであることが述べられた。

 このセッションでは地域でICTが活用されている具体的な取り組みとして、マイタウンクラブと地域協働ポータルサイトについて紹介があった。

 まず神奈川県厚木市の情報政策課である小路氏から、マイタウンクラブについて、その設立の歴史と現在の状況について説明があった。そこではマイタウンクラブで行われているサービスや、高齢者やPCが苦手な人をサポートするマイタウンサポーターズクラブの取り組みが紹介され、小冊子等を通してSNSの利用価値について理解してもらい、ゆっくりだが着実にコミュニティが広がっている様子が述べられた。

 次に地域協働推進機構の代表で地域協働ポータルサイトを運営している藤倉氏より、ポータルサイトの説明と運営状況について紹介があった。氏はまず地域SNSを作ろうとしたのが最初ではなく、街づくりの基盤を作りたいという願望が最初にあったことを述べた。そのために行政、企業、NPOが連携した形を理想とし、地域協働のプラットホームの環境作りとしてポータルサイト設立の目的があることを説明した。地域協働ポータルサイトの特徴としては、コミュニケーション型よりもテーマ型に絞っていることや、交通系ICカードとの連携、寄付に応じた「まちづくりポイント」の寄付、施設予約公共サービスとの連携などが挙げられ、地域活動に関わった内容は可視化できるようにして、利用者の立ち位置を明確にしていることが述べられた。

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 谷脇氏は、これらの取り組みに対しリアルの関係に繋がっているところが重要であることを述べ、リアルの繋がり力をつなげている所が面白いとした。またこのような取り組みには行政とNPOの連携が大事であり、これからもその連携について試行錯誤したいとの感想が述べられた。

 この後、パネリストの間で質疑が交わされた。谷垣氏の携帯電話との関連についての質問に対して、小路氏はほとんどのサービスが携帯と連動しているが、高齢者が多く、その利用が進んでいない現状を明らかにした。また司会の庄司氏から、サービスがシニアを意識しすぎているのではないかとの質問があった。これについて小路氏は、行政サービスは様々な年齢層を対象としており、ネット利用を後押しするために高齢者に対応しているのであり、若者も積極的にマイタウンクラブを利用している例を挙げた。寄付を引き出すコツについての質問に関して、藤倉氏は非常に難しいが、地域の現状や問題を知ってもらうことで寄付を募ることが大切であり、寄付を「社会的投資」という認識に変える働きが大事であることを述べた。 最後にパネリストからそれぞれセッションの感想が述べられた。