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分科会2-1:地域SNSの事業継承を考える-横浜市から民間への引継ぎ事例から

[パネリスト]

杉浦裕樹氏(NPO法人横浜コミュニティデザインラボ)
宮島真希子氏(神奈川新聞)
肥田野正輝氏(インフォ・ラウンジLLC)
和崎宏氏(兵庫県立大学/ひょこむ)
坪田哲司氏

[司会]

坪田知己氏(慶應義塾大学大学院 特別研究教授)

 行政の事業として、あるいは行政の助成金を受けて立ちあがった地域SNSが、目標年限を終了して「自立」を試みる事例が増えてきている。この分科会では、横浜市の関連事業であった地域SNS「ハマっち!」が、新たな事業体を形成して事業継承をすることになった事例を取り上げ、地域SNSの持続的な運営や事業継承のあり方が検討された。

 まずNPO法人横浜コミュニティデザインラボの杉浦氏は、ハマっち設立の当時の様子について説明した。それによると、ハマっちは横浜の150周年記念行事の一環として設立され、それまでに有志で研究されていた地域SNSの研究成果が活かされているという。また現在のハマっちのシステムであるOpenSNPが、利用者側で修正し、改良していけるシステムであると判断されたため、採用された経緯について述べた。

 次に、慶應義塾大学大学院の特別研究教授である坪田氏の司会のもと、ハマっちに対するパネリストの想いや、それぞれのパネリストがハマっちに関わりをもつようになるまでの経緯について語られた。

 坪田知己氏は、地域に接しつつもバーチャルの形で、地域に新しい情報ハブを立ち上げたいという想いがあり、それがハマっちへの参加に結びついたという。杉浦氏はこれまで舞台監督、市民活動の現場作り、ヨコハマ経済新聞での活動の経験をしてきた。それらの経験が、地域SNSで活かされると感じたことが、ハマっちに関わるきかっけとなったことを述べた。神奈川新聞の宮島氏は、行政に頼るのではなく、自分達の手で地域を変えていくことに関心を持つ中で、ハマっちにたどり着いた経緯を語った。エンジニアであるインフォ・ラウンジLLCの肥田野氏は、「人のつながり」に対して、技術をどのように活かすのかを考えている時に、ハマっちと出会った経緯を述べた。また今後は新たな事業体である「シンフォシティ」の代表として、ハマっちの事業を引き継ぐと共に、CGMを初めとした様々なメディアを組み合わせを用いて、必要な場所に必要な情報を送れる技術の展開を語った。坪田哲司氏は、子供に誇りを持たせる地域作りを考えており、市民が地域に対して主体的に関わって運営していける方向性を模索してきた。シンフォシティでは、新しい公共経営の姿を追求しながら、地域の発展についていくことを語った。兵庫県立大学/ひょこむの和崎氏は、ハマっちの役割として、地域の将来を開き人材を掘り起こすと同時に、人材を結びつけていく使命があるとし、その発展を念願した。

 最後は、継続的な運営の方法について議論された。杉浦氏は、SNSは決して儲かる話しではないとしながらも、運営に必要な資金の徴収方法として、クリック資金のシステムの確立や、利用者に対する広告サービス、新しい講座の提供、編集・統括された情報を送るメディアとして事業展開の可能性を説明した。引き続いて、肥田野氏は寄付システムについて言及した。そこではいかにして小額を寄付してもらうかが重要になると考えられ、その一つのソリューションとして、パスモ・スイカのようなカードで金を寄付してもらうシステムについて報告した。

 最後に司会の坪田氏は、地域SNSの第一期は終了したとし、これまでの地域SNSを開拓していきながら、さらに前向きに進めるようシステムを開発していくことが述べられた。