庄司昌彦氏(国際大学GLOCOM 主任研究員/地域SNS研究会)
地域SNSを研究し始めて、様々なSNSに登録することにしていた。しかしあみっぴぃに登録するには、実際に出会った人でないと参加できないということを知った。そこで実際に「出会う」ために、千葉まで虎岩さんを伺ったと思い出がある。私は2006年から一貫して、国際大学の「地域SNS研究会」で地域SNSを調査・研究してきた。今回の講演では、全国的な地域SNSの発展をみていきたい。
地域SNSの始まりは「ごろっとやっちろ」である。「ごろっとやっちろ」のコンセプトは「交流の場+広報」であり、一般の人が見ている場所で、市が交流の場を提供するというのは、当時では斬新なアイディアであった。OpenPNEの登場に従って、各地のSNSの誕生が加速化された。現在地域SNSは立ち枯れの現象も見受けられるが、総数はまだ伸びてはいる。
様々なデータを見てみると、地域の繋がりは減少し、人口も減少しているが、逆に高齢化は進んでいるという現状があることが分かる。このような姿では「高齢者たちがさびしく暮らす社会が進む」と思われる。よって人と人を結ぶための、協働・中間集団の活性化が必要である。その際、新しいメディアの利用は、人と人の関係を豊かにできるのだろうか。インターネットはただ眺めているだけではなく、コミュニケーションをしている。そのようなコミュニケーションが人間関係を豊かにする一方で、人間関係の豊かさに格差を起こしているともいえる。
SNSを考える上で、社会関係資本の概念である「結束」と「橋渡し」が大切である。地域SNSは内部で結束を強めると同時に、外部からの新しい関係を結ぶことができる。その両者のバランスは地域の状況や目的などによって異なると思われる。地域SNSによる活性化のモデルは、「つながりを深める」また「つながりを作る」というものであると考えられる。
地域SNSは大きく「広さ」と「人間関係」に分類される。ここでは類型1、類型3、類型5をみていきたい。類型1とは「情報重視で広い」である。
例えば、地方の新聞社が運営している地域SNSなどである。この地域SNSでは、新聞とネットが連携しあって情報を流通しながらコミュニケーションをとっている。類型3は類型1とは逆で「人間関係重視で狭い」である。これはリアルにおける人間関係を加速する利用の仕方をしている。例えば、「あみっぴぃ」や「らぶまつ」がこれにあたる。類型5の「中間」は、情報と交流が中間的な位置にあることを指している。例えば「マイタウンSNS」「ハマっち」がこれに当てはまる。
最後に今後の地域SNSの問題点として、ネット上での充実感をどのように持続させるのかということが挙げられる。ITで出来ることはほんの一部であり、ITを使って現実の生活をどのように豊かにできるかを考えることが大切であると思う。