虎岩雅明氏(NPO法人TRYWARP代表理事/あみっぴぃ)
私の活動の原点は、「まちのこんにちは」である。SNSの立ち上げの時には地域の活性化を目指していたのに、アクセス数などSNSの活性化にシフトしてしまうことがある。これはもったいないことだと思う。私は、SNSが地域の活性化に繋がることを考えてきた。今回の講演では「あみっぴぃが誕生するまで」を語らせて頂きたい。
私は起業をしようとしていた当初から、地域に貢献することを目指していた。自分自身で会社を作ることが出来るのかもしれないと思ったのは、ビルゲイツのドキュメントを観て、アイディアが他人の生活に影響を与えるという事実に感動したことがきっかけであった。その時に自分で会社を作るという考えに目覚めた。様々な企業家のアドバイスを聴いた後、「自分の選んだ道を正解に変える人生にする」という考えに達し、企業することを決意した。
起業に際して資金面に問題があったのだが、事務所は活動に賛同してくださった地域の方が無料で提供してくれた。この事を通して「地域に恩返しをする」と再び決意をした。恩返しをすると人が集まった。人の集まりが、さらに事業を活性化した。
TRYWARPの事業内容は大学生がパソコンを教えることを通して、若者と地域住民との世代間交流のきっかけを作ることである。またそのコミュニケーションを通して、パソコンのトラブルを解消すると共に、地域の方に「安心」を提供することである。しかし若者には、雑談のようなコミュニケーションの面白さがありながら、卒業後のネットワーク作りや、自分が書いた日記が見られるようなシステムの提供が大切であると感じた。そこからあみっぴぃが誕生した。あみっぴぃの名前の由来は「アミーゴ+ピーナッツ」である。新聞に載ったことで、各地域からの問い合わせがあり、そこから制作事業も始まった。
私はあみっぴぃを、幅広い層のユーザーに使ってもらいたかった。しかし大学生の参加を禁止した。大学生ばかりでは、年配の方がおっくうになるからである。地域では若者が年配に適合しようと歩み寄るのが当たり前だと思っている。ネットでも同じようにしたいという考えがあった。また健全なコミュニティ作りのために、ネット用語や実在しないコミュニティの作成を禁止し、本名と顔写真の記載を徹底した。コメントをする時に顔写真を出させるようにし、よりリアルに近い空間を作った。さらにデザインにおいても、あみっぴぃの仕組みを「教える側」の人が、最小限で教えられるものにし、年配の方が分かりやすいような工夫をした。
あみっぴぃは「出会い系」ではなく「出会った系」という形を目指している。つまりインターネットで情報を出し合うことで、リアルで出会った時のサポートとなるような形だ。情報共有をするようなサイトは多くあるが、あみっぴぃでは「気持ちの共有」を重視している。それがリアルで再会したときに話しの種となり、さらに気持ちの共有を起こすことになる。
最後に一つ言いたいのは、地域SNSが地域を盛り上げるわけではない、ということである。携帯電話を持つのは、友達がいるからこそ活きるのであり、ただ持っているだけで友達が出来るわけがない。それと同じように、活性化している地域がSNSを使うことが大切である。するとリアルが活性化する。SNSには「発信型」「積極的受信型」「消極的受信型」の3つがあるが、これからは「発信型」「積極的受信型」での書き込み情報を見ている「消極的受信型」の人たちのことを考えた経営を目指していく。